暗殺者の家
  • 原題:THE MAN WHO KNEW TOO MUCH
  • 監督:アルフレッド・ヒッチコック
  • 脚本:
  • キャスト:レスリー・バンクス/エドナ・ベスト/ピーター・ローレ

  • 製作年:1934年
  • 製作国:イギリス
  • アルフレッド・ヒッチコックの『暗殺者の家』 これは、英国の作品ですね。

    僕らは英国の作品を後から観たんです。初めの方は、輸入してなかったの。英国の映画は面白くないとゆうので、入れなかった。というのは、英国の映画は面白いんだけれども、理屈が多いのね。それで、日本でやらなかった。

    その時に、その『暗殺者の家』。ヒッチコックファンだから、早く観たい!早く観たい。『暗殺者の家』 観てやっぱり、ヒッチコックタッチが凄いので、驚きましたね。

    このヒッチコック、アメリカ行きました。アメリカ行って、『レベッカ』と、それから、『海外特派員』作りましたね。ここらが、ヒッチコックの名人芸ですね。『レベッカ』 いうのは、いかにもロマンチックな映画。片っぽの、『海外特派員』は、いかにもアクション物。後の、『北北西に進路を取れ』 ああいう感じの映画。つまり、上からキャメラぼかして、雨の日、みんな傘さして。観てる時に、その上から撮ってるから、こうもり傘がサァーッと揺れて、まん中が空いていくんですね。ズーッーと、逃げて行く男の。

    そういうあたりの作り方が、もういかにも上手くって、『海外特派員』は、いかにも、ヒッチコックのアクション物ですね。ヒッチコックのスリラーですね。スリルですね。 それで、「ヒッチコックって上手いな~」と思ったんですけど、もっと凄いのは、『レベッカ』でしたね。『レベッカ』観た時に、ヒッチコックいうのは、こんな監督かとゆーのが、解ったんですね。『レベッカ』いうのは、つまり、愛されて結婚したけど、女の方は、本当に愛されているのかどうかわからなくて、恐がって、恐がって、恐がっていく疑惑の映画ですね。そして、その大きなお屋敷のお譲ちゃん亡くなった。それが、レベッカですね。それが、先妻でしたね。そのお家の。そう、その先妻を女中さんが、褒めて、褒めて褒めまくるんですね。「レベッカ様は、立派なお方だった。レベッカ様は立派なお方だった。」だから、新しい嫁さんが、もう恐がって、恐がって、どんどん、、どんどん恐がる所が、『レベッカ』の凄い所でしたね。

    『レベッカ』は、いかにもヒッチコックのオリジナルですね。ヒッチコックは、だいたい恐がる事が好き。



    【解説:淀川長治】