アンナ・カレニナ
  • 原題:ANNA KARENINA
  • 監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ
  • 脚本:
  • キャスト:ヴィヴィアン・リー

  • 製作年:1948年
  • 製作国:イギリス
  • 『アンナ・カレニナ』トルストイの有名な作品ですね。これをみなさんはご存知と思います。

    けれども『アンナ・カレニナ』これをヴィヴィアン・リーが演っているんですね。ヴィヴィアン・リーが演ってジュリアン・デュヴィヴィエが監督してるんですね。やっぱりこれは最高ですね。このジュリアン・デュヴィヴィエの『アンナ・カレニナ』、これをご覧になったら本当にヴィヴィアン・リーのこの魅力がお分かりになると思います。

    侯爵かなんかの嫁さんなのね。ところがこの嫁さん、良い嫁さんなのに貴公子の若いのが彼氏になったんですね。どうにもこうにも困っちゃったんですね。そういう風なつまりスキャンダルですね。そういう映画ですけど観てるといかにも品があるのね。で、これは見事な作品ですけどこのヴィヴィアン・リーでいよいよ『アンナ・カレニナ』は活きたんですね。見事な作品です。

    ご覧になったらお分かりでしょうけど、もうとっくに本をお読みでしょうけど、もういっぺん映画でご覧になったらもういっぺんトルストイの勉強して下さい。『アンナ・カレニナ』はトルストイの最も代表作品です。そうしてこの女がどんなに苦しんだか、どんなに困ったか、愛と言う物がどんな物か、それがもう身にせまるヴィヴィアン・リーの名演技でみなさんを魅力的に引きつけると思います。けれども最後はみなさんもご存じの様にこの『アンナ・カレニナ』は汽車に飛び込んで死にますね。言うならばメロドラマです。けれどもメロドラマと言えないトルストイのこの愛の恐さ、厳しさが出てきますね。もうこの時分からこういう不倫問題があったんですね。という訳でジュリアン・デュヴィヴィエの本当の代表作品です。

    クラレンス・ブラウンがグレタ・ガルボで演った事が有るんですね。それもなかなか良かったけどもやっぱりクラレンス・ブラウン言うアメリカ人とグレタ・ガルボと言うスウェーデン人で演った『アンナ・カレニナ』はどっか匂いが違ったんですね。で、ヴィヴィアン・リーの、イギリス人の感じが『アンナ・カレニナ』がとっても合いましたね。という訳でこの『アンナ・カレニナ』はみなさんご覧になってもういっぺんトルストイを勉強しよう。あのトルストイはどんな人か、それがいよいよお分かりになってあの『復活』『カチューシャ』も全ての作品もトルストイを勉強するのにもってこいの勇気を与えますね。

    ヴィアン・リーのこの作品はみなさんを本当に『アンナ・カレニナ』の世界に引きずり込むと思います。ところでこのヴィヴィアン・リーはみなさんもご存じの様に『風と共に去りぬ』あのスカーレット演りましたね。で、あの大役にヴィヴィアン・リーが当選しましたね。主役になりましたね。これは訳が有るんですね。セルズニックと言う人は非常に宣伝の見事な上手い人で。あのアメリカ南部の女の人を探してみんなにみんなにテストしたんですね。で、みんなをテストしたくせにイギリス人のヴィヴィアン・リーを選んだ所に、まあもうアメリカ人がびっくりしたんですね。
    どうしてヴィヴィアン・リーがあのスカーレット・オハラ演ったかと言いますとローレンス・オリビアとヴィヴィアン・リーが非常に仲が良かったんですね。で、ローレンス・オリビアがアメリカに行ってるのでヴィヴィアン・リーが後から追っかけて行ったんですね。そうして二人で会ってさあ撮影前にローレンス・オリビアの撮影の前にいっぺん『風と共に去りぬ』のセットを二人で見に行ったんですね。そこで火事の場面を見てヴィヴィアン・リーが「まあ綺麗だね。」と驚いたんですね。それを見てセルズニックが「スカーレット・オハラは彼女だ!彼女に決めた!」そう言ったんですね。面白い事にヴィヴィアン・リーはイギリス人ですけど、あのスカーレット・オハラを演ったんですね。

    【解説:淀川長治】