M
  • 原題:M
  • 監督:フリッツ・ラング
  • 脚本:
  • キャスト:ピーター・ローレ

  • 製作年:1931年
  • 製作国:ドイツ
  • フリッツ・ラング監督の『M』。怖かったな~。これドイツ映画ですよ。フリッツ・ラングがまだ若かった頃の作品ですね。

    で、これはどういう話か言いますとね、なんか知らないけど、町の女の子が殺されるのね。残酷に!それで、みんなが震えあがっているのね。そしたら、目の見えない風船売りのお爺さんがいたのね。そのお爺さんが、どうも犯人らしい男がいつも口笛を吹いて通る、なんて思っていて。
    ある時、本当にその口笛を聞いたんですね。「あれだ!あれだ!!!」と思って、側にいた青年に、「あれが犯人ですよ! 犯人ですよ!」と言ったのね。びっくりして、「そうか、あれか!」というので、自分の手に白墨塗って、その男の後ろから、“M”という字をパーンと当てて、その男の後ろにMという字がついたのね。

    そのMが犯人であると言う事で、みんなが探して回って捕まえる。

    怖い、怖い映画でしたが、これが『M』 のフリッツ・ランクの出世作ですね。ドイツ映画ですね。

    それで『M』 は何で、“ M ”という字がついたか?
    やっぱり殺人者ね。その頭文字がついた訳ね。で、本人は分からないの。ポーンと背中叩かれたから、「なんだろう?」 思ってるけど、背中に、“M” という字が出てたね。

    で、怖いのは、この犯人が何かと言うと子供に風船をやるのね。風船やると子供喜んで持つのね。その風船が怖いのね。
    電線の線に風船が引っ掛かってたの。あれ見て、怖いなー!怖いなー!思った時に、その現場の近くで、やっぱり女の子が殺されてるのね。殺されておりました。

    この映画の主役が、ピーター・ローレですね。ピーター・ローレ、黙っていても怖い、不思議な顔の男ですね。で、ピーター・ローレは、この 『M』で一躍有名になりました。

    そういう訳で、『M』 と言うのは、フリッツ・ラングのドイツの代表傑作ですね。怖い、怖い映画。これでフリッツ・ラングは、やがてアメリカに連れて行かれた。けど、この人は『メトロポリス』作ったり、もう大監督ですよ。

    で、私は、このアメリカで、このフリッツ・ラングに逢いました。逢った時に、「、フリッツ・ラングさん。あんたの『メトロポリス』『ジークフリート』みんな良かったけど、『M』も良かったですねー」って言ったら、僕に抱きついて「ここへ上がれ!」と、机の上にポーンと置いて、僕は上からフリッツ・ラングを見るような立場で、物を言ったぐらいに、フリッツ・ラングは、『M』 の事を言ったら、喜びましたねー。

    【解説:淀川長治】