クレオパトラ
  • 原題:CLEOPATRA
  • 監督:セシル・B・デミル
  • 脚本:バートレット・コーマック
  • キャスト:クローデット・コルベール/ウォーレン・ウィリアム

  • 製作年:1934年
  • 製作国:アメリカ
  • はい。『クレオパトラ』 これは、有名な話ですね。それを、デミルが演出しました。

    セシル・B・デミルが、『クレオパトラ』をやる。もうこれは、もう極め付けだ。『クレオパトラ』は、デミル以外、やれない!いうぐらいに、もう、華麗なる題材ですね。

    で、この、『クレオパトラ』を誰がやるか? グロリア・スワンソン、NO!嫌だ! 「そういう風な、怖いから嫌だ!」言ったね。どんどん、どんどん、みんな頼んだけど、みんな、NO! NO!NO!NO! 「クレオパトラみたいな、立派な役はやれない!女優として嫌だ!」と言ったんですね。

    とうとう、クローデッド・コルベール持ってったんですね。で、コルベールはYES! と言ったんですね。コルベールは、アメリカで、有名な、有名な女優になりましたけれども、生まれはフランスなんですね。だから、非常に粋な、女なんですね。

    それを、デミルが、「あんた、出なさい!」『十字軍』に出たんですね。デミル映画の『十字軍』に、ちょっと。だから、もう、デミルに言われて、NO! と言えなかったんですね。で、コルベールが、クレオパトラやった。さあ、これが、又、評判になりました。

    そうして、後に、リズとバートン で、やりましたね。『クレオパトラ』は、リズ・テーラー(エリザベス・テーラー)これ、やりましたね。さあ、これが、えらい評判になったんですね。リズ・テーラーと、リチャード・バートンが、非常に仲の良い時に、これ映画にしました。この、制作プロデューサーは、ウォルター・ウェンジャーだったんですね。

    さあ、これを映画にする。これで、面白い話があるんですね。ウォルター・ウェンジャーと言う人は、『駅馬車』のプロデューサーですね。それから、あの~『歴史は夜作られる』のプロデューサーですね。で、私は、この、ウェンジャーから、銀時計もらった事が、有るんですね。『駅馬車』でね。で、『駅馬車』で、銀時計もらった、ウォルター・ウェンジャー 。

    だから、アメリカ行った時に、ウェンジャーに会って早速、お礼言いたかったら、NO! NO!と言われたんですね。「何で、会えないの?」 言うたら、「今、監獄に入ってる」 言われたんです。「え!ウェンジャーが監獄に!」 っていうんで、びっくりしたんですね。
    というのは、この人は、綺麗な、綺麗な、ジョーン・ベネット いう奥さんが有ったんですね。綺麗な奥さん。この奥さんが、ちょっとある事件があったんですね~。 ある、男と一緒になったんですね。それをウェンジャーが、もう我慢できなくなって、相手を撃ち殺しちゃったんですね~。殺人事件ですね。それで、牢獄、放り込まれたんですね。

    その、ウォルター・ウェンジャー。その、ウェンジャーが、『クレオパトラ』のプロデューサーなったんですね。誰もやれないから、怖い。けど、ウェンジャーは、牢獄入ったから、そういう関係で、頑張って、頑張って、頑張ろう! いうので、あの~この『クレオパトラ』のプロデューサーなったんですね。ところが、又、これが、えらい事件、起こったんですね。というのは、、、リズ・テーラー とバートン、アントニーがバートンですね。クレオパトラが、リズですね。この二人が結婚して、間もない頃ですね。 だから、二人は、ちっとも撮影所に、来ないんですね。いつまでたっても、ハネムーンの気持ちで、今日は嫌!明日は嫌!ずっと言うんですね。で、大きな、ローマの大きなセットしてるのに、NO!と言うから、ずいぶん金使っちゃったんですね。ウォルター・ウェンジャー 。

    とうとう、しまいに、ウォルター・ウェンジャーは、「もう、ダメだ!もう駄目だ!」 遺書、書いたんですね。首つろうと思って。もう、死ぬつもりだったんですね。ところが、もう、それを、もうパラマントが止めて、「駄目!待ってくれ!待ってくれ!」 えらい事件起こったんですね。

    けど、リズとバートンは、そんな事、平気ですね。もう、「今日は、このローマの撮影、イヤ!」こんどは、「ここの、撮影イヤ!」大きな、大きなセット、大きなセット、使わないから、猫が住んじゃったんですね。で、本番、やろうと思ったら、ニャオ~ンと言ったんですね。又、やり直し。

    で、『クレオパトラ』は、えらい事件起こして、もう、えらい目に、ウォルター・ウェンジャー遭いましたけど、でも、そういう訳で、リズとバートンの、これは、『クレオパトラ』は、結婚の後の、非常~に甘い頃の、名作です。

    で、『クレオパトラ』 は、何しろデミルの映画ですから、絢爛たるもんですね。見事なもんですね。
    で、デミル一番の魅力は、女ですね。それから、もう、その、衣装ですね。それから、その時代の、華麗なる感覚ですね。デミルの、『クレオパトラ』は、やっぱり、デミルでなくては、出来ない見事な、華麗なる、超大作でしたよ。

    【解説:淀川長治】