若草物語
  • 原題:LITTLE WOMAN
  • 監督:ジョージ・キューカー
  • 脚本:
  • キャスト:キャサリン・ヘップバーン/ジョーン・ベネット

  • 製作年:1933年
  • 製作国:アメリカ
  • 『若草物語』、もうこれはみなさん何度もお読みになったでしょう。オルコットの、日本でいう明治元年頃の小説ですね。もう当時の若い人はみんなこの『若草物語』を読みました。

    私も愛読しました。「LITTLE WOMEN」、これ、楽しかったねえ。
    で、これはキャサリン・ヘップバーンのジョーですね、これがいいんだねえ。このジョーがね、あの次女ですか、これがなかなかやり手なのね。チャンバラの真似したりするのね。

    この『若草物語』は、若い女の人がこんな生活ができたらいいのにな、こんな暮らしができて、こんな生活だったらいいのにな、という憧れの少女物語ですね。

    キャサリン・ヘップバーンもなかなか良かった、うまかった。キャサリン・ヘップバーンは舞台で一流ですからね。舞台でレスリー・ハワードと喧嘩したことがあるぐらい。そういう人ですからね、もううまいんです。

    この人はね、首筋を自分でこわがるの。と言うのはね、首筋に皺がよるの。
    気に食わないのでいっつもハイネックでね、いっつもそうしてるの。
    ベニスのロマンティックな映画あったでしょう、ゴンドラに乗るね。あれで皺が出て困ったけど、首筋をうまく隠してましたね。

    という訳で、キャサリン・ヘップバーンの若草は、もう見事でした。
    後に、ジューン・アリスンがまたこれ演りましたねえ。で、ジューン・アリスンがこれ演った時にも観ましたけれど、やっぱりヘップバーンの凄い、凄い、舞台的な演技にはジューン・アリスンは負けましたね。

    けど、ジューン・アリスンいう女優、私がハリウッドでまだ最初の二日目に会ったんですね。その時ジューン・アリスンはね、僕全然始めて会うんだから知らないですよ。

    スタジオへ行って、MGMへ行って暗い中で本番中、静かーに入って行ったんですね。したら、「カット、十分間休憩」言うなり、僕の方を向いて暗い中で、「Hello,Mr.Yodogawa.」言ってびっくりしたんですね。
    なんで私知ってるんだろう思ったら、ちゃんと今日来る事を宣伝が伝えてたんですね、で、淀川いう名前も覚えてたんですね。

    そういう訳で、一流の俳優は、女優は、そんなに芸が細かいんですね。
    という訳でジューン・アリスンの『若草物語』も凄かったけど、キャサリン・ヘップバーンの『若草物語』も立派だったなあ。

    かわいい、かわいい姉妹があるんですけど、なにしろこれは、『若草物語』。若い青春の姿があふれるばかりでね、私はキャサリン・ヘップバーンの次女が凄かったなあ、良かったなあ。ジューン・アリスンはおとなしかったなあ。

    今さら申すまでもないけど、みなさんはもうとっくにお読みになったでしょうけど、明治元年頃の小説で、こんな物語があったんだ、オルコットのこの作品は立派だなあと思われたら、あらためてもういっぺん読んでご覧なさい。
    このクラシックは、やっぱり名作ですねえ。

    あ、ところで、このキャサリン・ヘップバーン、私と同い年なんですね。
    でね、西洋人だから割合に早くから皺が出たんですね。けど皺が出た理由がないこともないんですね。
    この人、お風呂が好きなの。そいでね、一日に七回入った事あるのね、風呂にね。まあ風呂ばっかりみたいだね。
    という訳で、風呂が好きだ言う事がちょっと僕と似てるんですねえ。

    【解説:淀川長治】