愚かなる妻
  • 原題:FOOLISH WIVES
  • 監督:エーリッヒ・フォン・シュトロハイム
  • 脚本:エーリッヒ・フォン・シュトロハイム
  • キャスト:エーリッヒ・フォン・シュトロハイム/ミス・デュポン

  • 製作年:1922年
  • 製作国:アメリカ
  • エリック・ヴォン・ストロハイムご存知ですか?エリック・ヴォン・ストロハイムこの人の『愚かなる妻』この話しましょうね。

    サイレント映画です。エリック・ヴォン・ストロハイムご存知ですね。『サンセット大通り』のグロリア・スワンソンのノーマンデスモンドの運転手、番頭さんになって出て来ましたね。このストロハイムの見事な名作の『愚かなる妻』この話をしましょうね。で、エリック・ヴォン・ストロハイム、ドイツの人です。けどドイツの誰か分からないの、八百屋さんだったのか何だったのか分からないの。それがアメリカに来てエーリッヒ・フォン・シュトロハイムと言う名前作ったんですね。

    フォンと言うのは爵位のある人ですね。だから立派な立派な人が来たなとハリウッドの人はびくり仰天してエーリッヒ・フォン・シュトロハイムに一目置いたんですね。けど怪しんだ。本当にフォンと言う名前持っているかどうか怪しんだ。不思議な男だ。顔はものすごく怖い顔しているんです。カミソリの刃みたいな顔をしているんです。怖いんです。これが最初はイントレランスとかグリフィスの映画にエキストラで出ていたんです。それまで何していたか分からない。この男がとうとう自分で映画を監督する時が来たんです。そうしてやがてこのエーリッヒ・フォン・シュトロハイムは本当にシュトロハイムの映画をとうとう登場させたのが『愚かなる妻』でした。

    『愚かなる妻』はサイレントのこの時代では最もタブーの言ってはいけない題名だったんですね。アメリカで愚かなる女、愚かなる妻なんていうのは絶対に言ったらいけないんですね。それに堂々と『愚かなる妻』という題したんですね。

    これでエーリッヒ・フォン・シュトロハイムは有名になったんですけど、本当はこの映画は4時間かかる映画だったんです。4時間で上映出来ないので3時間にし2時間半にして封切ったんですけどこの映画でユニバーサルはもう会社が潰れそうになったんですね。物凄いセット作ってサイレントなのにどのホテルの部屋も部屋も全部電話がかけられる様にして物凄いセット作ったのでユニバーサルはもう破産する、あの男を追い出せ!って追いだしたんですね。けれども後にこの『愚かなる妻』は見事に成功して大成功にヒットしたんですけど、シュトロハイムは追い出されたんですね。そうしてシュトロハイムは困っている所をサムエル・ゴールデンが救って『グリード』と言うもっと恐い映画を作らせたんですね。シュトロハイムはそういう風な凄いアメリカには無い凄い物を作った注目の監督ですね。

    【解説:淀川長治】