• 原題:SPARROWS
  • 監督:ウィリアム・ボーディン
  • 脚本:
  • キャスト:メアリー・ピックフォード/グスタフ・フォン・セイファーティッツ

  • 製作年:1926年
  • 製作国:アメリカ
  • 『雀』、このお話しましょうね。

    『雀』『Sparrows』。なんでしょう?これはメアリー・ピックフォード、この人が本当に人気トップワンのころに映画になった問題の作品ですね。
    メアリー・ピックフォードの映画というと、この『Sparrows』ですね。
    この『雀』が非常に評判になりましたね。

    メアリー・ピックフォードと言うのは、かわいい、かわいい少女。
    かわいい少女だけど…負け惜しみがつよいの。誰にも負けないの。
    その負けない、非常にガンバリの強い、本当に元気な少女。

    これがアメリカで大うけ。やさしーい小娘のくせに誰にも負けない勇気。
    アメリカでメアリー・ピックフォードはすごく評判よくて、アメリカのハート、アメリカの本当の代表的少女というのでメアリー・ピックフォードは有名なんですね。
    その頃のこの『雀』は代表作品です。

    で、『雀』。一体何でしょうね?
    フロリダの方で悪い男がいましてね、悪い女がいましてね。その夫婦が子供をさらっていくんですね。 どこの街でも小っちゃな2歳、3歳くらいの子供をどんどん集めてね。
    それをね、金持ちで養子がほしいと言う人に売るんですね。
    だから、あちらでも、こちらでも子供がとられちゃって、みんなが困る。

    そこに売れ残りの少女がいるんですね。みんな、2歳、3歳、4歳くらい、5歳くらいの子供ばっかりなのに、この子は15歳くらいなんですね。
    それがメアリー・ピックフォード。

    ところが、その売れ残りのメアリー・ピックフォードがみんなを助けようとするんですね。その、悪い悪いオヤジ、悪い悪いオバサンの目をかすめて逃げて行こうとするんですね。
    そこが、この『雀』のものすごいシーンなんですね。

    どういうシーンかといいますと、みんな集めて、十何人か忘れましたけど、その子供集めて、ズーッと逃げて行くんです。
    どんどん、どんどん逃げるんですね。
    泳げない、渡れない所は木の枝から枝へ飛んで行くんですね。
    その木の枝、またがって、またがって行く下にはワニがいるんですね。

    ワニがいっぱいいるところを、子供を十何人連れて渡るところがすごいんですね、そのものすごいさ!
    メアリー・ピックフォードが「あんた、お行きっ!さあ、お行きっ!」、小さい子供を抱いて行く、そのシーン。

    そのシーンが、ずっと後にウォルト・ディズニーに伝わりましたね。
    ディズニーがこのシーンこそ本当の映画のサスペンス、スリラーだっていうので、ディズニーはこの『雀』からずいぶん勉強しましたね。

    『雀』の面白いところは、どんどん、どんどん逃げる。
    下にワニが大きな口あけて、ワーッと飛びつこうとする。
    そこを子供をつれてどんどん逃げる時に…メアリー・ピックフォードの前の男の子のパンツがずれてオシリがでるんですね。「あんた、ダメよ!そんなところでオシリだしちゃ。」
    そのあたりのスリルとサスペンス、しかもコメディ。
    それがすごくよくて、メアリー・ピックフォードはこの映画で一躍有名になりましたね。
    『雀』はディズニーの教科書ですね。

    ディズニーがまだいないころ、どんどん、どんどん、スリル、スリル、逃げて、逃げて、とうとう逃げおうせて。
    やがて立派な、立派なお方が、メアリー・ピックフォードを養女にもらったんですね。
    ハッピーエンドですね。
    いかにもメアリー・ピックフォードらしい代表作品ですね。

    【解説:淀川長治】