三悪人
  • 原題:THREE BAD MEN
  • 監督:ジョン・フォード
  • 脚本:ジョン・ストーン
  • キャスト:ジョージ・オブライエン/オリーヴ・ボーデン/J・ファレル・マクドナルド/トム・サンチ

  • 製作年:1926年
  • 製作国:アメリカ
  • 『三悪人』、これはサイレントの頃のジョン・フォードの西部劇ですね。
    で、サイレントの頃のジョン・フォード言いますとね、ハリー・ケリーでね、たくさんたくさん撮ってるんです。

    けど、みんな西部劇と言うよりも人情劇ですね。当時ウェスタンなんて言わなかったんですね、お客さんは西部人情劇と言ったんですね。
    そういうふうに、何かどっかロマンティックな、悲しい恋の話が入っているんですね、ウェスタンの中に。むしろ、アメリカでもそうですけど、日本でもハリー・ケリーの西部人情劇と言ったんですね。

    しかもシャイアンが舞台のものが多くて、シャイアン・ハリー、シャイアン・ハリーと言うので、もうジョン・フォードとハリー・ケリーのコンビは、はやくから有名だったんですね。
    その頃にジョン・フォードは『三悪人』というの作ったんですね。それがまたとってもよかったんですね。

    どんな話か、みなさんもうとっくにご存知のように、三人の悪いやつが金持って、てーっと逃げて行くんですね、で、砂漠を横断しようと思ったら、砂漠の真ん中へんで幌馬車がひっくり返ってるんですんね。
    あらっと思ったら、赤ちゃんだけ、おぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあといってるんですね。
    どうして『三悪人』、Three Godfather なのかというと、イエス・キリスト様がおみえになった時に、三人の賢者が「ああ、この人が、世界を救う人だ」そう言ったんですね。

    その三人の賢者の事から、Threeという名前が出てきて『三悪人』、Three Godfather、二度目の方は、本当にGodfather言う名前をつけたんですね。
    そういう訳で、『三悪人』は、ジョン・フォードの名作です。
    『Three Godfather』の三は、イエス・キリスト様を初めて見て、この人は世界を救う人だとか言った、その三人をもじった題名ですね。
    という訳で『三悪人』は、ウェスタンの、映画の歴史ですね。

    戦後、私は東京に来たジョン・フォードに会ったんですね。
    ジョン・フォードに会って、『駅馬車』でウォルター・ウェンジャーいうプロデューサーから僕は銀時計を貰った言ったら、「そうか、見せてくれ」って本当につかみだしたね、僕の銀時計を。「Oh,Yes.」僕の背中叩いたら、僕はひっくり返りそうになりましたね、力が強いんだね。

    そういう訳でジョン・フォードと会いまして、いろんな話したら、このシュナイダーマンというキャメラマンが凄く好きだったの私。
    ジョン・フォードの映画は、みんなシュナイダーマンですね。
    「シュナイダーマン、あの人どうしてますか?」言ったら、「あいつはやめたの、金ができて」。
    ところが「いま一人、いいの見つけたよ、いいの見つけたよ」って、もうすごい念を押すんですね。

    『黄色いリボン』で新しいキャメラマンを見つけたんだ、それを念を押しましたね。
    それで、監督にはどんなにキャメラが大事だかいう事がわかったんですね。
    けども、ジョン・フォードが僕の駅馬車の銀時計を見て、「そうか、そうか」と言った事を今は懐かしく思いますね。

    【解説:淀川長治】