THE PHANTOM OF THE OPERA

オペラ座の怪人

原題: THE PHANTOM OF THE OPERA
監督: ルパート・ジュリアン
キャスト: ロン・チャニー/メアリー・フィルピン
製作年: 1925年
製作国: アメリカ
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『オペラの怪人』 『オペラ座の怪人』 ね。これサイレントの頃、大正14年の頃、初めて、ユニバーサルで作りました。『オペラの怪人』と当時、言いました。 『The Phantom of The Opera』でしたね。作りました。

で、ユニバーサルで、これ作るのに、サイレントの頃ですよ。もう大騒ぎ! 大変な、大変なね、超大作。ユニバーサル始まって以来の、『愚かなる妻』に続く超大作で、びっくりしましたね。『オペラの怪人』って何だろう? 何だろう? 思いました。

で、ロン・チャニーが主演しています。ロン・チャニーがグロテスクな男を専門な役者ですね。あーだから、『オペラ座の怪人』いうのは、きっとね、怖~い映画だろうな思いました。けど、サイレントの頃、何の映画なんだろ? 何の映画だろ?思いました。で、ユニバーサルは、大宣伝しました。で、観に行きました。びっくりしたね。超大作で、見事な映画でね。どこが、見事言いますとね。そのパリの、オペラ座の、その舞台が凄いんですね。もう、なんかね~凄いオペラなんです。凄いバレエなんです。たくさん、たくさんのね、200人ぐらいのね、舞台出てるオペラ。そして又、15人ぐらいが、この~バレエ踊るんですね。綺麗なんですねー。それが、サイレントの頃だから、びっくりしたの。広い舞台でね~みんなが綺麗に踊ってるの。

ところが、キャメラが、ずーっと下降りていくの。どんどん降りて行くの。床の下、つまり舞台の下へ。どんどん降りてくの。そして、細い細いね、岩の間通ってね。行った所に、オペラの怪人がいたのね。これが、この映画の主役で、ロン・チャニーやりました。
どうしてか、言いますとね、この男は、顔にね、すごい怪我しましてね。顔が半分ね、火事かなんかで、ただれてるんですね。だから、もう表出ない、表出ない。けれども、オペラゆうものを、命をかけて、大事にしている男ですから、地下に、地下におって、オペラを守ろうとしてるんですね。

それが、当時サイレントの頃ですから、そんなオペラいうものを、知らない頃ですから、びっくりしたのね。で、パリのオペラ座の、床下、地下がこんななってんのか、いう事をキャメラが、ズーッと、下降りて行くのね、降りて行くのね。あ~凄いな~思いましたが、そこにはね、水が流れてるのね。その奥に、怪人がじっと居るのね。その怪人は、オペラ守ってるのね。

で、オペラのスターの綺麗~な女の人、それ、守ってるのね。そういう風な映画でしたけど、ロン・チャニー凄かった。それよりも、サイレントの頃、大正14年の頃、私、15・6でこれ観まして、凄いな。オペラ座、ってオペラゆうのは、こんなに凄いのか思いましたけど、その映画は、どんどん、どんどん私を、引きずりこんでいきました。ノーマン・ケリーとか、そういう人が出まして、もうユニバーサルの超大作でした。

という訳で、これが、後にまたも、映画になり、またも映画になりました。それほど、この『オペラ座の怪人』今、オペラ座、と言いますね。それは、有名です。みなさんは、ひょっとしたら、これを舞台で、日本でもご覧になってると思います。これはステージで、もう再三、ミュージカルに、なりましたね。私は、ニューヨークでも観ましたし、日本でも観ましたけど、このオペラの怪人、地下へどんどん入っていくけど、舞台では、そんなん出来ないから、この大きな大きなシャンデリアが、ザ―ンと落ちていく、そういう場面を見せて、この『オペラ座の怪人』 をクライマックスを、お客さんに、あの~噂たたさせましたけど、本当は、そのシャンデリアが落ちてく事よりも、地下へ、地下へ、地下へ行く所の怖さが、この『オペラ座の怪人』 『オペラの怪人』 の見どころでしたね。

で、ロン・チャニーの他に、ハーバート・ロスだとか、色んな人がやりました。2回も、3回もこれ映画になりました。けれども、、またもや、映画になると思います。『オペラ座の怪人』 『オペラの怪人』 これは、いっぺんはクラッシックとして勉強する作品ですね

【解説:淀川長治】