1981年カンヌ国際映画祭審査員特別賞受賞
主演:トレヴァー・ハワード ミック・フォード
1981年| スイス=フランス| カラー| 108分| 16: 9ビスタ| DCP ©All rights reserved to The French Connection, 2025
将来も見えず放浪する青年ジョナスと大空を夢見る風変わりな老人の交流をファンタジックに描いた長編第7作にして、タネール初の英語作品。
〈ここではないどこか〉を希求する老人と、彼に惹かれ手助けをする青年。友情とも愛情とも異なる二人の共鳴する心が起こす《奇跡》、そして厳しい現実。
ヌーヴェルヴァーグの遺伝子を受け継いだそれまでのタネール作品とは異質の手触りを持つ、誰も見たことのない異色ファンタジーの傑作。撮影はジャン=ジャック・ベネックスの『ベディ・ブルー』(86) の名キャメラマン、ジャン=フランソワ・ロバン。
荒涼かつ湿潤なアイルランドの原風景を見事にフィルムに収め、観るものを圧倒する。主演は『逢びき』(45)『第三の男』(49)などで知られる英国の名優トレヴァー・ハワード。
変わり者の老人ヨシュカをエキセントリックかつチャーミングに演じる。 1981年カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞。 2021年8月にリマスターされた4Kレストア版で日本初上映。
1984年セザール賞最優秀作品賞受賞/1983年ベルリン国際映画祭金熊賞ノミネート
出演:ブルーノ・ガンツ テレーザ・マドルーガ
1983年| スイス=ポルトガル=イギリス| カラー| 109分| ヨーロッパビスタ| DCP © Filmograph - Alain Tanner. Collection Cinémathèque suisse.
晩夏。陽の光を反射させ白く輝く迷路の町を放浪する一人の男。「自由とは? 」 。
自己に深く潜り込み、日常と時の流れから逃げ出そうとする男の旅路を、柔らかな光線で詩情豊かに綴った紀行エッセイ的長編第8作。
詳細な脚本は準備せず、頭に浮かんだ風景、言葉、感情、記憶を自由に連想させて、俳優たちも即興的な演技を披露して撮影された、キャリア上もっとも意欲的かつパーソナルな作品である。観るものの感性を揺さぶる情景美が全編を彩る、アラン・タネール最高傑作。
劇中で幾度となく挿入される8ミリフィルムで撮影されたリスボンの町並みとまどろむようなサックスの音色が、観客の胸に郷愁の想いを呼び起こす。
主演はヴィム・ヴェンダースなど数々の巨匠の作品に出演した名優ブルーノ・ガンツ。人生の倦怠から逃れようとする主人公ポールを、悲哀とユーモアの絶妙なバランスで演じている。
2019年8月にリマスターされた4Kレストア版で上映。
タネールの映画からは大きな影響を受けた。
彼の作品に登場する人物の複雑さには計り知れないものがある。
彼は映画のキャラクターが内に秘めた矛盾が、
いかに観客の心を揺り動かすかを信じていたのだ。
大好きな映画のひとつ! (『白い街で』)