SEVENTH HEAVENT

第七天国

原題: SEVENTH HEAVENT
監督: フランク・ボーザージ
キャスト: ジャケット・ゲイナー/チャールズ・ファレル
製作年: 1927年
製作国: アメリカ
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第七天国』フランク・ポサージ、ジャネット・ゲイナー、チャ―ルズ・ファレル、この名作の話しましょうね。

『第七天国』、セブン。セブンと言うのは非常にね、縁起が良いんですね。どうしてセブンが縁起が良いの?セブンどうして縁起が良いの?ハイ、これは東西2つ、南北4つ、それに土5つ、海で6つ、空で7つ。と言う訳で人間はこの七つで守られている。7つが有って人間は幸せだ言う様な大昔のことわざが有るんですね。だから『第七の封印』なんて言うのは初めから死ぬ事ですね。

そういう訳で『第七天国』これはそう言う意味の第七なんですね。ところがこの話は、地下の工夫が居たんですね。この男、この男が地下で働いているのが辛い、嫌だ、俺は上で働きたい働きたい思うんですね。チコと言うイタリ―の工夫ですね。それがせめて俺は自分の働いてる所は地下だけど住む所は上の方で住みたい。それで七階の一番高い所に安下宿、もう歩いて上がる所、一階、ニ階、三階、四階、けど歩いても構わないから第七階の所、せめて天国に近い、「わしはここで暮らすんだ。」と言うチコという男が居たんですね。イタリーの青年が。

ある日、自分の家に帰ろう思ったら可愛らしい女の子が泣いて逃げていたんです。それを誰か女の人が追っかけて鞭で叩いていたんですね。「こら、ばかやろう、何、可哀想な事するんだ!」女を追い出したんですね。後残っている女を「お前どうしてあんなに叩かれるんだよ?」「あれは私の義理のお姉さんで、私は働きに酒場に行ったら、お姉さんが男の人と一緒にいなさい、なんて言うので私は絶対嫌だ、嫌だ言って逃げた。するとお前は言う事を聞かないと言って、ああして叩かれるんですよ」「そんななら、お前帰るな」と言ったんですね。それで「俺の所の部屋で泊れ。俺はお前に手を付けないから」と言ったけど、恐がって恐がったけど、一緒に上がって行った一階、又、一階。「まだ、上がるの?」「もっと上がるんだよ」ニ階、三階、「もっと上がるんだよ」四階、五階、七階。「まあー」と言う。そこで二人は一緒になったけど、そのダイエンヌと言う女の子だけをベットに寝かして、チコは床の上で寝たんですね。で、二人は清らかな清らかな友達になったんですね。

ところがだんだんだんだんチコがダイエンヌ好きになったんですね。でもアイ・ラブ・ユーなんて絶対言えない男なんですね。恥ずかしがって。どういってアイ・ラブ・ユー言おうかと思っても言えないんですね。ダイエンヌは言ってもらいたいんですね。言ってもらいたいけど言わないから、チコはどう言ったかというと「チコ、ダイエンヌ、HEAVEN、天国」そう言ったんですね。チコとダイエンヌと天国、これがアイ・ラブ・ユーの代わりだったんですね。ところが彼女喜んで、「もういっぺん言って、もういっぺん言って」「チコ、ダイエンヌ、天国」「チコ、ダイエンヌ、天国」そんなラブシーンが有るんですね。可愛い可愛いラブシーンですね。そういう話なんですね。ところが、戦争でこのチコが行っちゃったんですね、兵隊に。その前に二人は祝言したんですね。さあ、それでがっかりした。ところがお爺ちゃんやお婆ちゃんが慰めて、「ダイエンヌおいで、こっちへおいで、さあこの橋渡りなさい。板渡りなさい。」「おっかない、おっかない、私怖くて、下向いたらもう怖い」お爺ちゃんがお婆ちゃんが言ったの。「チコがいつも言ったろ、上を向いて歩きなさい、言ったろ。あんた上向いて歩いたらいいんだよ。チコがそう言っているよ。」ダイエンヌは「チコ、私上を向いて歩くわ、上を向いて歩くわ、上を向いて歩くわ」と言ったらとうとう渡れたんです。「そうら渡れたでしょ。」言うのが『第七天国』ですね。

チコはやがて帰って来ましたが目を失って帰って来たのね。ダイエンヌが一生目の代わり。あんたの目の代わりになります。言う様なオチが有りますけど、この映画を私、友の会、ずっと昔40年程前に友の会でしゃべったんですね。「『第七天国』良いよ良いよ。」みんな良く聞いてくれたんです。その時に永六輔と言うのが子供でいたんですね。可愛い子がいたんですね。それに「こういう映画良かったよ、良かったよ。」言ったら「そう、良かったですね」って言ったら、いつのまにか上を向いて歩こう、上を向いて歩こう、言うのがどうも頭に入れたらしい。後に永六輔は“上を向いて歩こう”なんて歌を作っちゃったんですね。どうもあやしい、『第七天国』のこれから来てるんだと思いましたけれども、『第七天国』は日本でも芝居にもなったしもう見事な見事な愛の映画でしたね。

【解説:淀川長治】