WINGS
原題: | WINGS |
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監督: | ウィリアム・A・ウェルマン |
キャスト: | クララ・ボウ/チャールズ・ロジャース |
製作年: | 1927年 |
製作国: | アメリカ |
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『つばさ』 懐かしいですな~。
これは、パラマウントの本当の、代表的な、大作ですね。ウィリアム・A・ウェルマン が、監督しました。
ウィリアム・A・ウェルマンの『つばさ』これで、ウェルマンは一躍、有名になりましたけれども、それよりも、この映画は、パラマウントが、若手二人を、表に出して、若手二人を、売り物にしたんですね。
それは、どういう訳か、言いますと、この『つばさ』は、第一次大戦の、航空兵の話しなんですね。で、二人の若者が、いかにも勇敢に、それを戦う映画なんですね。その、二人の若者を、リチャード・アレン。綺麗な男でした。それと、チャールズ・ロジャース。この二人を主役にしたんですね。で、チャールズ・ロジャースが、可愛い顔。リチャード・アレンは、もう最近の二枚目みたいな顔、いい役者ですね。この二人が、航空兵で活躍する話なんです。
で、『つばさ』って言うのは、本当に、この第一次大戦の、あのプロペラのある飛行機ですね。あれが、どんどん、どんどん出てきて、もう画面を、斜めに切る、横に切る、十字に切る。もう、このつばさが、どんどん、どんどん画面を飛び回る、その凄さが、 この、『つばさ』を一躍、有名にし、これは凄いな~って事になったんですね。
このロジャース、坊ちゃん顔、それとリチャード・アレン、美男子。その二人が、どんなにこの映画で活躍するか、ゆうのがパラマウントの売り物ですね。けれども、これに、クララ・ボウというのを入れました。クララ・ボウというのは、マリリン・モンロー、これを野生にして、やらしい女にしたのが、クララ・ボウですね。けれども、これが、また、パラマウントで売り物になったんですね。
そういう訳で、これは、面白い、面白い、『つばさ』の映画。で、ウェルマンは若い頃、本当に航空兵だったんですね。だから見事なんです。けれども、これで私が皆さんに、「あ~そうか。。。」と言う事をひとつ申しましょうね。
それは、その航空兵が、どんどん、どんどん、テントの兵舎から、出て行く所で、一人の若者が、「オイ、お前も出るんだよ!」「oh!イエスサー、出ます!」で、出て行く時に、その若者は、チョコレート食べてたんですね。チョコレート、半分食べさしを置いたまま、「ハイ!」って出て行ったんですね。それが、暫くして、撃墜されて、亡くなったんですね。「あの野郎、死んだか。。」言う所が有るんですね。そのまだ、机の上に、チョコレートが残ってるんですね。その、チョコレートを食って、出て行った若者が、ゲーリー・クーパーだったんですね。ゲーリー・クーパーは、その頃、誰も知らなかった。
ところが、日本では、この役が、非常にお客さんにうけたんですね。あ~可哀想に、あの若い兵隊死んだのか。。。あれ、誰?ゲーリー・クーパーと言う役者よ。いい顔してるな。そういうな訳で、この『つばさ』は、ゲーリー・クーパーを偶然にも、日本で一番最初に売ったんですね。世界で一番、ゲーリー・クーパーを認めたのは日本だったんですね。
そう言う訳で、ゲーリー・クーパーがこの映画で、本当の初めて出て、いい役で、有名になったけど、この映画の面白さですけど、ウェルマン、ウェルマンって人が、どんな立派な監督だったかゆうのを、今、ここで言えないくらい、もう名作をどんどん、どんどん出してます。で、ウィリアム・ウェルマンの『つばさ』、ゲーリー・クーパー発見の『つばさ』、それにリチャード・アレン、バッテ・ロジャースの『つばさ』。それにクララ・ボウが出てる、『つばさ』。
そういう訳で、パラマウントのこれは、見事な大作です。『つばさ』ご覧になったならば、「あ~、昔こういう映画あったのか~。」もう、縦横十文字の画面を切る、あの、『つばさ』 プロペラの『つばさ』 あれが、どんなに、当時びっくり仰天か?ゆう事を。例えば、今ご覧になって、例えば、まあ、スターウォーズとか色んなご覧になって、どんなに飛行機とか、航空ゆうものが、空ゆうものが、自由気ままに、大きなワイドスクリーンに映るけれども、それよりも、この『つばさ』のサイレントの頃の本当に、監督、本当に、このプロペラの飛行機に夢中になった頃の、この魂が『つばさ』には、見事に出てるんですね~。そういう所に、『つばさ』の愛情。ウェルマン監督の、空への愛情が、あふれて、このウェルマンの『つばさ』は、その後、『空、ゆかば』とか、色んな映画、作りましたけど、何と言っても、『つばさ』はサイレント映画最高の空の名作ですね~。
【解説:淀川長治】