MANON

情婦マノン

原題: MANON
監督: アンリ=ジョルジュ・クルーゾー
キャスト: セシル・オーブリ/ミシェル・オークレール/セルジュ・レジアニ
製作年: 1949年
製作国: フランス
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『情婦マノン』のお話をしましょうね。アンリー=ジョルジュ・クルーゾー、好きだなー、この監督大好きですね。みなさんこの監督の作品ご覧になったでしょう?色々と。みんないいですね。みんないいですけど、この『情婦マノン』これも凄かったなー。

『情婦マノン』これは一人の男がマノンに夢中になったんですね。マノンというのは何とも知れんやくざの女なんですね。戦争中に敵のドイツの兵隊に売春したんですね。それで捕まえられて戦争が終わって捕まえられてみんなでリンチしてやる。この女の子の頭の毛切って、そして首切ってやるなんて言う所へ一人の男が来て助けてやるんですね。マノンを。で、マノンは綺麗な綺麗な女だからその男はマノンの言う通りになっていくんですね。

で、これは原作は『マノン・レスコー』ですね。それをモダンにしてやったんですが、そのマノンがとっても綺麗な子で生意気な子でマノンの親戚、兄さんか弟かそれが又闇屋の何とも知れん男なんですね。そういう訳でマノンは泥だらけの悪い女なんですね。それに夢中になって夢中になってマノン、マノン、マノンと言うので二人は逃げて逃げて行こうという事になった、ユダヤ人に化けて。で、ユダヤ人ばかりがお船に上手く入れてもらってどんどん逃げて行くんです。ところが、途中で二人は逃げられなくなって、ある砂漠へおりて行ったんですね。二人はその砂漠を逃げている時に砂漠の中で土民の戦いがあって土民の戦いの弾でマノンは死んじゃったんですね。マノン死んじゃったんですね。弾が当たって。ところがその相手の男がもうマノンが死んだいう事で夢中になっちゃったんですね。もうとっても離せない。マノンを離して逃げて行けない。で、マノンを抱いて逃げて行く。けど砂漠の中でマノンを抱いて逃げて行くのはとってもたまらなくなって、マノンの両足を自分の肩にのせてマノンを逆さまにして逃げて行くんですね。そのあたりそのクルーゾーの監督のキャメラもいいね。

それで、どんどん逃げて行く。けど、だんだんマノンは腐ってきたんですね。死体になって、怖いなー。もう持って歩けなくなったんですね。仕方ないからこのマノンを抱いておろして泣きながら接吻して砂掘って、砂掘って、そん中にマノン入れたんですね。「マノンよ、マノンよ、ここで眠れよ。」と入れたんですね。で、上からずっと砂かけたんですね。かけたけれども全部砂かけたらとってもたまらなくなって顔だけ、顔だけ砂の中から出したんですね。全部かくして、で、顔だけが出ているんですね。マノンは死んでいるんですね。その顔を見て「マノンよ、マノンよ、マノンよ。」と言ってるうちにだんだん腐ってくるんですね。だんだん腐ってきてマノンの顔に蝿がたかってくるんですね。そういう映画が『情婦マノン』ですね。クルーゾーは怖い映画作りますね。

クルーゾーの映画どれ観ても怖いですね。もうあのトラックの荷台、ニトログリセリン運ぶ映画ありましたね。あれも怖かったね、あれも凄く怖かった。ニトログリセリンを運んでいくあの怖い怖い映画。けどあの映画ご覧になってみなさんお気付になったでしょうか?後の一台、上の一台、何で、いがみあっているか?よくおわかりになりましたか?ホモセクシャルですよ。前の一台、後ろの一台、それぞれ嫉妬、喧嘩色々あって上あがる道、上がる道、上がる道、ニトログリセリンの怖さと一緒に嫉妬の怖さがあるんですね。

という訳で、この監督クルーゾー監督は本当にフランスでも最高の監督ですね。あの怖い映画ありましたね。何か『悪魔のような女』あれでも男と女が共謀して学校盗む。取る為にそこの女の校長いじめる為に相手の男を1,2,3,4,5の約束で風呂場の中に入れて目の中に白い玉を入れて、そうして1,2,3、ちょうどその時間にその女の校長を連れて来るんですね。悪い女が。それで、1,2,3でその風呂場に沈んでる男がふっと起きあがるんですね。目玉は何か白い玉入れているんですね。そうするとその女校長がキャーっと死んじゃったんですね。「上手くいったね。」と言うのが『悪魔のような女』ですね。そういう訳でクルーゾーの作品は本当に凄いスリル、サスペンス、本当の毒の様な映画作りますね。

【解説:淀川長治】