A FAREWELL TO ARMS
原題: | A FAREWELL TO ARMS |
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監督: | フランク・ボーザージ |
キャスト: | ゲーリー・クーパー/ヘレン・ヘイズ |
製作年: | 1932年 |
製作国: | アメリカ |
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『武器よさらば』、これはヘミングウェイの有名な名作のベストセラーですね。これが映画になりました。
サイレントの頃、映画になった時にこれを演ったのがヘレン・ヘイズ、有名な舞台女優。
ゲーリー・クーパー、有名なスターですね。この二人でこの映画見事だったですね。
アメリカの負傷兵、それが看護婦と仲良くなって本当に何ともしれん、いいロマンスですね。看護婦と兵隊、負傷兵、これが見事で僕はこれを昔夢中で読んだ事あるんですけど、ちょっと忘れてしまった。けど今でも一行だけ覚えています。
というのは、二人が仲良くなって仲良くなって、とうとう二人でホテルへ行ったんですね。ヘレン・ヘイズの看護婦さんとゲーリー・クーパーのこの兵隊とが。
そうして帰りに翌朝何をしたか。買い物に行ったんですね、マーケットへ。
何買ったか、男のさるまた買いに行ったんですね。
ホテルに泊まったあくる日に兵隊は自分のさるまた買いに行った。そこが何ともしれんおもしろかった、ヘミングウェイの作品ですね。
でこれ、ゲーリー・クーパーとそれからヘレン・ヘイズ、これが見事だった。
『武器よさらば』言うんですけど、その頃、上映する時には『武器よさらば』の「武器」をさらばするのはいけないので「戦場よさらば」に名前変えらされたんですね、軍部で怒られて。
そういう事もありますけど、あの『イングリッシュ・ペイシェント』は、どうもこの匂いをうんと盗んでますね。
そういう訳で、これは看護婦と兵隊のとっても奇麗な奇麗なロマンスでした。
で、これが、またも映画になったんですね。今度はロック・ハドソンとジェニファー・ジョーンズになったんですね。はーあ、と思ったんですね。で今度はセルズニックが、デビッド・O・セルズニックが制作したんですね。
悪いことはないけど、やっぱりゲーリー・クーパーとヘレン・ヘイズの清潔な奇麗な奇麗なロマンスいうのには及ばないんですね。
で、今度はチャールズ・ヴィダーが監督したんですね。それで、ふぅーんと思った事は、この頃、ジェニファー・ジョーンズはこの大プロデューサーのセルズニックと仲良くなってたんですね。
で、「私はあんな映画つくりたいなあ」いう事がどーうもあったんですね。『武器よさらば』、これを映画にしたいな。A FAREWELL TO ARMS、こういうの演りたかった、そういう注文が出たんですね。それでおそらくセルズニックは、奥さんになるジェニファー・ジョーンズのためにこの映画をつくった気がするんですね。
で、ジェニファー・ジョーンズ、ロック・ハドソン、やっぱり合いませんね。なんかどろどろしたね、色っぽさが出過ぎてね。なんか、かわいい奇麗な奇麗なロマンスにならないんですね。
けれども、やっぱり二回映画になった事、最初の映画、見事な映画、それをまたもやセルズニックがもう一回やったゆうことで、これおもしろいですね。
という訳で、みなさんは「戦場よさらば」、ゲーリー・クーパーとヘレン・ヘイズ、これご覧になったら、いいなあこのロマンス、奇麗だなあいう事がおわかりになると思いますね。
【解説:淀川長治】